健口を守り育てる歯科医院を目指して  since 1993              
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私たちの思い

知っていただきたいことがあります

 私、菊地誠は靴屋の長男として生まれました。親族には歯科医を含め医療とは全く縁がない家系に育ち、一族で靴屋を経営していたのですが、父が次男であった事もあり、家業を継ぐのではなく高校3年の時、父に医師になることをすすめられました。しかし、自分ではいわゆる「お医者さん」というより、「技術者」が向いているのではと考えていましたので、一度はその提案を断りました。「それでは歯科医師はどうか」という提案に、医師よりは歯科医師の方が自分にはまだ合っているかもしれない」という漠とした思いで、北海道大学歯学部に進学しました。不勉強な上にボート部で船を漕ぐという事に熱中した6年間を過ごした後、歯科医師になるという実感がないまま平成2年に卒業しました。
 ただ、その時に違和感として心に引っ掛かったある出来事がありました。それは歯の根の治療を教わった恩師から、「今後、みなさんは学生実習で教わった通りに診療して下さい」と言われた一言でた。
 しかし、その言葉の意味は勤務し始めてすぐにわかりました。レントゲンで見るほぼ全ての歯の神経の治療がおよそ適切とは言い難い状態だったためです。これは簡単に申しますと、社会保険での評価があまりに低いために手抜き工事が蔓延していたのです。また驚くような事もありました。最初に勤務した歯科医院では売上が少ないと判断した時などに、当たり前のようにむし歯の影一つない健康な歯を削っていました。流れ作業で同時に複数の患者さんの処置を行ったり、麻酔の注射液の使い回しや、手袋の再利用など衛生状況も処置の質も酷く、同僚の歯科技工士さんや歯科衛生士さんもこのような状況に対し悩んでいました。ある日私は、それらを院長に指摘したところ大げんかの末、解雇されました。

 
 
 その後、あまりにもひどい歯科の現状に愛想をつかした私は、歯科医としての仕事を辞め家業の靴屋を手伝っていました。その半年した頃、知り合いの先生からの紹介もあり、今度は給与が診療した保険点数に対する歩合制の歯科医院に勤務しました。それは自分がじっくり診察すれば自分の給与も下がりますので、売上ノルマのプレッシャーはかからないだろうという判断からでした。しかし、次の勤務先もやはり大きくは変わらない状況でした。毎日毎日、診察の手を抜く事と、不正請求を要求されました。
 
 今、経営者となっては、余りにも不当な保険の評価からという事情は理解できますが、血気盛んな当時の私は反発し、父に「歯科医を辞め、真っ当な仕事をしたい」ということを相談したところ、「それでは、自分で独立し歯科医療と歯科医業を両立させてみろ」と言われました。そこで27 歳で独立したのが菊地歯科の始まりです。
 
 しかしそれは新たな問題の始まりでもありました。日本は皆保険の国ですから、保険適用の治療が標準治療です。誰でも質のよい医療を、比較的安く受けられるのが利点のはずですが、現実は歯科の治療費用と質に「ばらつき」があり、それは、例えば内科や小児科に比べても大きい感じがします。もはや現場では何が標準治療か判然としなくなっています。ある面、日本の健康保険は、システムとして一種の「社会主義」です。例えば、大学の教授が診察しても、新米ドクターが診察しても同じ医療費ですし、仕事の内容の評価によって治療費は左右されません。それが先ほどの歯の根の治療に代表される現実につながります。
 
 その後、開業してなるべく丁寧な診察を心がけましたが、時間や手間をかけても国が決めた非常に低価格な医療点数により大赤字が続きましたが、家族に支えられ経営を続けました。
 実例をあげますと、保険診療での根の消毒は1時間かけても150 円から200円、むし歯を削って綺麗にする処置も手間賃と医療機材代を含めて180円と、薬局でお薬手帳を発行する手数料の400円の半額にも足りません。人工の歯なども一人一人オーダーメイドで作るわけですが、歯科医院に数千円から1万円、歯科技工士さんに至っては場合によって1.000円以下の工賃しか払われないこともザラにあります。歯科技工士さんの睡眠時間を削り働きづめの姿は、さしずめ現代の「蟹工船」と言えるでしょう。このように費用に関して日本では、処置によっては欧米の1/20から1/100という価格設定で、さらにはフィリピンやベトナムよりもはるかに安いのです。日本では保険医療ですべての費用がまかなえると、政府が情報コントロールしているとしか考えられません。
 
 このような問題は私一人だけでなく、当院を支えてくれる周囲のスタッフにも影響していました。その間にはあまりに過酷な環境で心が折れ、この世を去った歯科技工士さんとの死別もございました。
 開業して数年し北欧の予防歯科に出会い、腐っていた気持ちが切り替わり、技術を上げ、短時間で適切な処置が行えるように研鑽も続けましたが、それでもなかなか難しい日々が続きました。日本では予防医療の範疇とされる基本的歯科医療も、保険医療ではカバーされていません。さらには、保険請求が認められるかどうかというのは、県ごとに担当する技官の考えに左右されます。社会保険では通る請求が、国民保険では通らなかったりすることもしばしばです。2年ごとに改正する制度は複雑を極め、昨日まで請求できたことが改正した翌日にがらっと変わりますと、現場では一貫性をもった診療方針が崩れることになります。従って患者さんを向いての医療ではなく、医療制度の方を向いての医療になりがちなのです。
 
 よくよく考えた結論として、これは私が悪いのではなくて医療制度そのものが悪いのだと気がつきました。
 更に今の菊地歯科では、保険診療と自由診療という一物二価という問題や混合診療という問題もあります。
又、安全な医療を目指せば目指すほど、医療費のコストと手間は膨大になります。歯科における露骨な医療費削減の押し付けをしながら、私的な医療機関に公的な医療制度を担わせるのは、企業努力と割り切るには限界があります。これは、赤字路線を抱えながら企業として利益を、鉄道会社としては、社会インフラを支えなければいけないJR北海道の例を出すまでも無く、分かり切った結果です。JR北海道が事故のリスクを見逃した結果はご覧の通りですが、手抜き工事と不正請求が蔓延している歯科業界で、ごまかすことで問題を隠蔽するのではなく、説明した上で社会的に適切なコストをご負担していただく方が真っ当なビジネスだと思うのです。少なくとも自分がされたくないことを他人にはしたくはありませんし、スタッフの生活も支えなければなりません。
 
 そのような矛盾が日増しに日常の診療に現実として突きつけられてきました。その差を埋めるように考え努力して参りましたが、私にはマネジメントする能力に限界を感じています。そこで今回の自由診療の一本化ということに至ったわけでございます。
 
 私たちは自負心と高い基準を持ち、さらなる成長を求めて前代未聞の新たな試みを進めてまいります。今回の決断は決して全ての方にご理解が得られるとは思ってはいませんが、一人でも二人でも応援していただけましたら幸いです。
 

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