歯科における
「保険診療」と「自費診療」の違い

科には保険のきかない治療があります。これは患者さんにとって不安の種です。どうして保険でできない治療があるのでしょうか?厚生労働省では「本来すべて保険でできる。ぜいたくな治療や新しい治療方法ができないだけ」と答えることになっているようですが、これは実は正しくありません。
 具合の悪さが問題となる「生活の医療」ではゴールそのものが人により異なります
性の病気の治療やリハビリまた、生活の質を高める医療では主人公は患者さんなので治療の方法もゴールも患者さんが決めます。
 つまり患者さんの自己決定が重視されます。ところが、これは保険のしくみが不得意とするところです。なぜなら保険はみんなのお金で病気になった人を助ける仕組みだからです。医療を受ける人が勝手に病気かどうか決めたり、治ったかどうかを判断するようでは面倒をみられないからなのです。
 顔のしわを取ったり、二重まぶたにしたり、視力の回復手術また歯並びの治療が保険でできないのはこのためです。
 ところが、保険のしくみは急に病気や怪我をしたときには助かりますが困った一面もあります。慢性の治療やリハビリでは「患者の自己決定」こそ大事なのですが、それが大事にされません。また、治療法や素材も制約されます。
 それよりも「保険のきまり」が一番大事と考える歯医者さんも大勢います。なぜなら、決まりを守れば結果はどうあれ治療費をもらえるからなのです。
 逆に患者に利益があっても「決まり」どおりでないと「保険から支払いが受けられない」というおかしなことがおこります。その結果、保険の医療では患者のためでなく「決まり」に従って治療をするという逆立ち現象がおこっています。その結果、医療不信や医師不信が起こっているのだと私は考えます。

日本の現状

聴器やめがねは保険では作ることができません。ところが入れ歯は保険治療の対象となっています。歯の治療は実は保険と自費のボーダーラインにあります。先進国では、入れ歯や被せ物は保険の対象外が通常です。逆に予防やケアが国でサポートしていただけるというように、日本とは真逆の考え方です。

 医療の種類 入れ歯. メガネ 補聴器 松葉つえ
保険の可否  × × ×

 

どうして違いを丁寧に説明してくれないか

 保険と保険外の違いをきちんと説明してくれればいいのですが歯科医院では、はっきりと説明できない事情があります。保険を取り扱いする歯科医院には患者さんが保険証をもって受診された場合は法的に、患者さんが何も言わなくても保険診療を求めていると見なされるという解釈になるのです。したがって、患者さん自ら求めない限り、保険でできない治療を紹介、説明してはいけないというルールになっています。
 このため、多くの歯科医院では「保険では材料の制約があって満足できる材料が使えない」という苦し紛れな説明をします。もちろん保険と自費治療の違いの本質は材料の違いではありません。

具体的に保険でできないこと

 □ 健康診断
(正確に書くと「むし歯のチェックをしたい」というのは、病気では無いけれども健康かどうか心配という人のための人間ドックと同じく自費診療になります。このような時、歯医者さんは自費診療をするのではなく、何らかの意図的な病名をこじつけて保険診療にすり替えます。従って歯医者さんにかかるときには、歯がうずく感じがするとか、歯肉が赤い気がするなどと表現していただいたら確実に保険診療となります。おかしな話ですけどこのような配慮に歯医者さんは振り回されているのです。
 
 □ 病気の無い人に対する予防処置はだめ
(健康を維持するためにスポーツジム、スイミングに通うことと同じと判断されるのでしょうか)
 □ 歯列矯正は特別な場合を除いてだめ
(特別な病気で指定を受けた医療機関では可能な例外があります。)
 □ 人工の歯をセラミックでつくるものはだめ、また指定以外の金属は使ってはいけない
(入れ歯でも差し歯でも不可です)
 □ 金属で作る入れ歯
(今の保険の入れ歯はプラスチックだけで作る物しか認められません。その場合は割れやすく、なによりバネを掛けている歯に負担が大きくなります)
 □ インプラント
(これはご存じですよね)
 
 実際の保険の取り扱いの細かい判断は、実は県によって、またその患者さんが加入している保険が社会保険や国民保険かの違い、さらにはその年の担当の技官によって解釈が違うため対応をその都度、変えなければいけません。これもまた合理的な医療の妨げとなります。
 険診療をうけながら、希望者だけの特別メニューとして予防管理をプラスアルファーできればよいのですが、制度上これはいっしょにはできません。現状では厳密に解釈すれば、「予防ケアはすべて自己負担」となります。これまではグレーゾーンとして保険でできることと保険でできないことを別の日に行ってきましたが今は歯の検査が「人間ドックと同じで健康な人に行う」という発想のもと保険で請求できなくなりました。
 「健康日本21」という国の健康戦略では歯科の定期管理がはっきりと目標に掲げられているのですが、実際の保険は悪くなった後始末的な治療が中心でリスク管理は保険外の扱いになっています。
 そこでやはり、メンテナンスや予防が一番大事だと私たちは考えます。悪くなればまた治療を受ければいいという従来の考え方は、お金を失うだけでなく、健康を失うことは間違いありません。歯科医院とは「削る」「抜く」という後始末的な治療をうけるためにかかるのではなく、健康管理や維持のため定期的にかかりつけの歯科衛生士とおつきあいするというのがワールドスタンダードな歯科医療だと私たちは提言いたします。


ここから、さらに本音で語ります

タブーに挑む 日本の歯科の実態 

ズバリ、大きな問題は「医療費」の問題

 医療の世界では前医を批判してはいけないというのが「マナー」でもあり「暗黙のルール」でもあり、「医師のたしなみ」でもあります。しかし事実を隠すのは国民の利益になりません。それも昔、既にマスコミやネット、書籍でも問題はあげられています。やはり国民はその実態を知る権利があると考えます。
 

「薄めすぎたスープ」や「段ボール入りの餃子」のように

 歯科の保険医療はそもそも、医療にかかれない低所得者が対象の救済制度がスタートだったのです。そのため非常に廉価に治療が設定され、それが昭和61年から大きく変わらず継続されています。その結果、先進国の歯科医療費と比べ1/20から1/100に設定されています。それに対し健康保険の対象範囲は非常に多岐にわたった結果、いろいろと歪みが生じています。
 
 その苦肉の策として、海外に例を見ないほど短時間に多くの患者さんをさばくような、長時間待たせて、短時間の処置になりますし。時間がないことにより、患者さんの疑問の応えるような時間がありません。
 処置の質は問われない事をいいことに、虫歯の取り残しや根の消毒の手抜きなどが横行しています。
 また、明らかに虫歯の出来ないような部分を削って埋めてあるのは、1本だけの処置では採算が取れないから他なりません。
 また、そもそも日本では滅菌そのものも体勢や教育が行き届いてなく、危険な限りです。
 
 専門用語にはなりますが「滅菌バリデーション」や「トレーサビリティー」などという概念は歯科では聞いたことがありません。これは一部の歯医者さんに限ったことでなく、環境としてそもそも保険医療では成り立たないのです。これでは医療の質を問う前の話です。国も歯科医師会も広げすぎたサービスを今更、狭めることができないのでおそらく『国民の意見』という「外圧」でしか改善の可能性はないと私自身は考えています。
当院は一部の気がついた方の受け皿として今は役目を果たしていると自負しております。

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