自由診療移行後の一年を振り返って


 今年の四月で保険医を辞退しまして一年になります。多くの皆さんに共感と励ましのお言葉をいただき大変感謝しております。一方、保険医を止めた理由がまだ皆様に伝わっていないことも感じます。そこでもう一度「なぜか?」というご説明と、この一年で何が変わったか、さらには残されている課題をご説明いたします。

 大学を卒業し、歯科の世界に踏み込んで最初に感じた違和感は今でも忘れません。虫歯も取らず、注射針は使い回し、健康な歯まで削ると言うような状態でした。歯科の保険制度の評価が不当に低く、不正請求と手抜き医療が堂々と日々行なわれています。患者利益 を得るための不正だとしたらある面、やむを得ないことかもしれませんが、患者さんの健康を守る「保険」ではなく、歯科医の生活を守る「保険」のように思えて仕方がありませんでした。当院は「医業と医療の両立」を目指し二十一年前に開業いたしましたのが始ま りです。ところが相変わらず歯科を取り巻く環境はひどく、昨年の読売新聞の報道のように患者さんと医療従事者の安全性すら担保できないのが現状です。努力や工夫をしても、 頑張れば頑張るほどその歪みは、歯科医院に勤めるスタッフや歯科技工士、歯科器材を扱 う材料商の社員にも押し寄せます。これは私たちの努力が足りないのではなく、そもそも国の制度そのものが間違っているという結論に達しました。そこで、私たちの医療サービスと適切な医療費とで社会的交換をお願いしよう、ということが保険診療を止めた理由に なります。国の保険制度は社会保障として公的保険を使うことが当然だと今でも思ってい ます。しかし一方で選択することができる権利も大事だとも考えています。皆さんにとっては突然だったことに思われるかもしれませんが、長年考え抜いた結果、苦渋の選択だったことをご理解いただけると幸いです。

次に、この一年の取り組みと課題をご説明いたします。


診療内容
・日々、少しずつでも改善しておりますが大きくは変わっておりません。しかし、事前の診療の打ち合わせ、治療後の反省など時間外に綿密なミーティングの時間を取っております。引き続き、高い基準をもって、淡々と向かい合います。
・現在「マイカルテ」と称して、できる限りの資料やデータをファイルして皆さんにお渡ししております。お持ちでない方はスタッフにお申し付け下さい。これは説明責任というより、是非、毎回お持ちいただき治療に参加していただくことを目的としております。

【課題】
・もう少し診療時間がとれると、説明や相談などのコミュニケーションが深まるかと思います。諸外国の歯科医院では一日に四、五人の診察ですので治療費と時間の板挟みです。




環境・設備
・レントゲン関係を一新いたしました。今までのフィルムのレントゲンからデジタル化し、歯科用CTも導入いたしました。このメーカーのCTは非常に低被爆で精細な画像が得られます。これによって安全な抜歯や根管の消毒に非常に活用できています。またデジタル化しましたので、簡単に印刷しお渡しする事ができたり、データもコピーできます。CTなどのレントゲン画像を皆さんのご自宅で見て頂く事は念願でした。
・歯のクリーニングでは歯を傷つけずに細菌を除菌できるアミノ酸のパウダーを吹き付ける機器を各部屋に導入いたしました。より歯に優しく、リスク部位に応じたきめ細やかなケアができます。




滅菌
・歯を削るドリルを滅菌する機材を一台追加しました。設備だけでなく、どうしたら消毒や滅菌の評価を記録し公開できるかと、全員でミーティングを繰り返し、現在ブログでその状況を毎日公開しております。

【課題】
・必要と思われる機材はすべて整いましたが、システム運用こそが滅菌管理の肝の部分です。引き続き評価・検証の方法(バリデーション)と滅菌の過程が明確に記録できるように院内で検討、研修を続けます。




安全管理
・AEDや生体モニターなどは以前より常備していますが、高齢社会と有病者の増加が当院でも顕著です。事故の無いよう、モニターの使用頻度をあげ、BLS(人工呼吸や心臓マッサージなど基本的な蘇生術)の研修、基礎医学の知識の向上を目指します。





診療費
・ある面、自分たちで医療制度を作っているようなものですので、日々悩み、皆で議論をしています。歯のケアなど歯科衛生士が担当している予防に関しての治療費は変わっておりません。被せ物の費用は金属の高騰により、見直しています。

【課題】
・できるだけシンプルな診療体系にしていますが、自由診療ということで事前の概算を知りたいというお申し出が多いです。残念ながらお電話だけでは具体的なお話ができません。診察をした後にご相談いたしますので、ご検討ください。尚、ホームページな どでイメージが伝わるようにより詳しい説明も充実させていく所存でございます。



このような歯科医院ですが、引き続きご縁をいただけるならばどうぞよろしくお願いいたします。

平成二十七年三月吉日 菊地歯科 院長 菊地誠

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