前回の続き

 銀歯にしたくない、しかし、歯にヒビも入っているし、歯の中で広範囲にむし歯が広がっているしという状況に追加して、遠方なのでその日に処置が終わりたいというご希望もあり

結局、もし上手にできなかったら改めてセラミックインレーにせざるを得ないこともあるけど・・・という前提で始めて、結局90分ほどかかりました。なんとかコンポジットレジン充填(ダイレクトボンディング)で処置が終わりました。図を参考にしてください。真ん中は噛み合わせの方向から詰めて、歯と歯の間は頬側の横から削って埋めることにより歯ぎしりで再び割れないように極力歯を削らずに処置ができ少しホットしました。

横から穴を開けている状態(ピント合わず申し訳ありません。)

追加情報です。銀歯は腐食しやすいのも確かです、ただし表面は食事をするたびにある面磨かれるので金属アレルギーという問題と素材的に硬いということを除けば、全くもって話にならんという訳では無いと思います、ネット情報にまことしやかに書かれている銀歯だと中でむし歯になりやすいということでもありません。もちろん銀歯だから問題は歯との境をしっかりと接着できるかという問題です。これは接着剤を使うことは治療した歯のその後の経過が良い事は歯科医はわかっているのですが、保険の点数(収入)が異常に低いので手間暇とお金を掛けて接着する経済的インセンティブが無いという話です。これについて「医療は算術じゃない」と怒られそうですが、現実問題として医療機関を存続しなければいけないという問題もあります。『早い旨い安い』は現実にはトレードオフ問題です。歯科医療もそう都合良くはできていないのが現実です。ちなみにコンポジットレジン充填はマイクロスコープ(手術用顕微鏡)が必須条件となります。歯科技工士さんが人工の歯(今回は銀歯)をつくるのにもマイクロスコープを使っているのです前提条件として肉眼では暗くて狭い口腔内で作業はできないと言い切っても過言ではありません。(また同業者に嫌われそうですが)

右の機材が「マイクロスコープ」です。
このようなものとは違います。(こちらはルーペと呼ばれる機材です)

地元の歯医者さんでは黙ってコンポジットレジン充填をしていただいていますが、はたして、その内容は・・・・・どう考えますか?
「手仕事の医療」は手を抜いても、上を目指してもきりがありません。
よほどのことが無い限り、医療の質は伝わりません。歯科医療をおとしめようとしているのでは無く、事実を伝えたいのです。おそらく医療消費者である国民が行動しないと世の中は変わらないと考えます。