「銀歯」をネットで検索するとこんな情報もでてきます。
私なりの解説を追加しておきます。

最後は抜歯まで行き着く「銀歯治療」の負の連鎖

これは、以前に書いた曼荼羅ではなく双六(すごろく)ですね。
先日のニュースのような事は実際に多くあると思っています。
予防拡大という考えも、一度むし歯になったら一方的に進行するという
古い考えに基づきます。でもそれ以上にもんだいはそもそも必要の無い
処置をしないと、もっと言うと「なにか削る処置をしないと売上が無い」
という保険システムと「カリオロジー」というむし歯学について大学で
学ぶ機会が無いことが問題です。

銀歯をここまで普及させた患者不在の「値段設定」の罪

ここは数字のレトリックが存在します。
実際は銀歯は削り、型を取るのに1日
銀歯をはめるのに1日合計で2日かかるのに対し
レジン(当院ではダイレクトボンディングと呼んでいます)は
当日の1日のみですので単純にコストパフォーマンスが良いという
わけではありません。もっと言うと現在は金属の仕入値が
高騰しているので技工料と金属代を考えて、精度の悪いレジンが
患者さんに施されることの方が問題だと思います。
どちらにしても、手作業の医療がこんな低評価な事と
治療の内容の評価が無い事が背景だと考えます。

銀歯が悪くてレジンがいい? 本誌記事への歯科医の見解

上二つの記事に対し、歯科医側からも当然意見がでています。
代表して4人の歯科医の意見が掲載されています。
面白いことに当然ですがそれぞれの立場により意見が違います。
最初の二人はこれを読むと保険中心なので自分たちがよりどころ
としている保険診療をベースに考えていますので記事に否定的、
後半の二人は自費診療中心なので記事に肯定的と
トーンの違いが明確です。
これはズバリその歯科医により医療に求めるハードルの
基準が違うという当たり前の事です。
自分の歯科医院が保険診療しているのに、保険診療の問題点は
声に出せないと考えます。

治療が長期間持つ持たないというのに影響する要素はずばり二つ
「技術や手技の内容」と「患者のお口の環境」の両面です。

言うまでの無く、配慮の無い適当な処置は良い結果をもたらしません。
これは一連の流れのすべてに言えることです。
お口の環境は、簡単に言えば「むし歯体質」であるかどうかということ
と、「生活習慣」です。
むし歯体質でない方の健康な歯を削ってその結果、30年持ちました
というのはお門違いです。

最後に銀歯であっても適切に処置すれば長期間にわたり機能すると
私は考えます。でもそこまでするならあえて、腐蝕する金属を
選択するメリットは無いという話なのです。歯軋シラーの末裔

勿論、歯軋り、噛みしめは人工の歯、天然の歯に限らずその寿命に
大いに影響します。写真は歯軋りの末、セラミックの部分が剥げ、
最後には取れてきた当院で処置した症例です。