通勤時に音楽を聴きながらふと考えました。

プロのミュージシャンは技術的に優れた上に、さらに自分の個性を表現し、聞く人の心を捉えるものだろうと、

そもそも音程をはずしたり、楽器が演奏出来なかったらそれは「プロ」とはいわないはずである。

かたや、歯科業界を振り返って見ると
目を覆わんばかりの惨状が日々目に付きます。

ここで、確認しますが、このブログは歯科業界を貶めるたり、自分の優位性やマウンティングのために書いているわけではありません。

医療業界の慣例として、同業者は批判してはいけないというのは暗黙の了解ですが、不都合な真実は知らないと不幸な患者が日々生まれるという歯科医療を憂いているだけなのです。

(もちろんこれは読み手の考え一つに左右されてしまう話ではありますが・・・・)


 当院には根管治療で悩まれている方が多く相談にいらっしゃいます。
ここでは、今一度患者さん自身がレントゲンを読み解いて、ご自身の受けられている根管治療に疑問を感じている方にその知識をすこしでも
お分けできればと考えて書くことにしました。

最初に当院での歯の根の消毒の例

Aさんのレントゲン写真です
骨の中に歯が埋まっています
歯の中に歯髄(いわゆる神経)が入っています赤い部分ですね

むし歯による痛みがひどく神経を取ることをなりました。
歯の上に穴を開け、神経をとり代わりにお薬を詰めるのが
根管治療です。(ざっくりとした話ですが)

処置後のレントゲン写真です。治療前との違いがわかりますか?
解説を入れるとこの様になります。

ここでのポイントは「根の先まで根充剤というお薬がしっかり詰まっているかどうか」です。

つまり、注目するところはここになります。

この説明は当院ではレントゲンを見ながら毎症例説明をさせていただいていますし。ビフォーアフターの写真は必ずお渡ししています。

当医院では全ての情報を開示し、お渡ししています。

つぎに他院の例を提示します


 ところが、先日根の治療の経過が悪いということでご相談の患者さんがいらっしゃいました。なんと3本も処置中だと言うことでレントゲン写真を取らさせていただきました。
そのうち、上の奥歯が隣どうしで痛いということです。
前医は「難しいなー難しいなー」と繰り返しおっしゃっていたそうですが、何が難しかったのかチェックしてみましょう。

最初はわかりやすい、「前から5番目」の歯に注目してみます。
みなさん、もう大分レントゲンの見方がトレーニングされてみましたね
どこが問題か当ててみてください!
緑のラインが歯の外径、ピンクの部分が本来の歯髄(神経)のはいっていた部分です。
赤い部分が間違って歯に穴を開けてしまって、突き出している根充剤です。
赤い部分は、明らかに歯を突き破って飛び出していますね。
これが感染源の一つになっています。

さて、次は 手前の「前から4番目」の歯にも注目してみましょう。

CTの輪切り写真です。
先ほどの同じように、緑は「歯の外形」を紫が「歯髄」の部分を示します。

先ほど学習した方は、怪しいところがもうわかりますね!
はい、こちらも間違ってドリルで歯に穴を開けてしまっています。

「赤く囲んだ部分」が間違って入れた根充剤の部分です

実は、この様なことは頻繁にあります。過去最高は一本の歯に5カ所の穴をあけられしまっていたことがあります。
ここには課題があります。

保険治療では根管治療の治療費としての評価がとても低く、そのため
  □治療や診断に時間が掛けられない
  □根管治療の研修やトレーニングをする気になれない
  □CTやマイクロスコープなどの設備投資をする気になれない
  □特にマイクロスコープを使う時間が取れない
  □そもそも、治療を評価するのが治療した歯科医師本人なことが
   ほとんどのため、チェック機構が働かず、医師の良心に
   委ねることとなる。

また、非常に繊細な処置が必要なため、
  □そもそも肉眼では処置はほぼ不可能、特に老眼がはじまっている
   世代は肉眼やルーペでは対応出来ない。
   つまり間違って穴を開けてもわからない。
  □マイクロスコープ用に特化した機材をそろえ、使いこなす
   スキルが必要
  □欧米ではそもそも、専門医の領域だが日本ではその土壌がない
  □歯を失って困ってからの「インプラント治療」は
   自費治療としてポピュラーだが
   「根管治療」は世の中にその重要性は知られていない上に
   日常を守る医療の価値や重要性は結果がすぐに出るわけでは
   無いので多くの人にピンとこない。
   

当院に患者として通われている歯科医の先生がこう言われました。
「インプラント治療は比較的誰でもできるけど、
   歯を抜かずに守る本当に大事な根管治療はなかなか難しいよね」

 もし、根管治療をされている方は通われている歯科医院で治療後のレントゲンを頂いてください。もうあなたはその違いが読み取れるはずです。


 ここで、歯科医の先生にもメッセージがあります。
根管治療の診断や治療でお困りな事がありましたら当院に是非ご紹介くださいませ。
その時、お二つ約束致します。
※紹介していただいた先生を責めることは致しません。
※根の消毒後は必ず、紹介先の先生の元に患者さんをお返しします。

どうでしょう、何件も歯科医院をあちこち彷徨う患者さんを減らし
こじらせる前に、是非患者利益を考慮していただけると私にできることは精一杯お手伝いさせていただきます。