医療における不平不満の一つとして

「説明が無い」というのよく聴く話です。

本日はこんなことがありました。

詰め物が取れたという訴えで久しぶりに来院された方が

いらっしゃいました。

お口の中を拝見すると

前歯の根元に深そうなむし歯が空いています。

取れた破片をお持ちになったいたので確認すると

ジャストフィット

経緯を伺うと、ご本人のお話では

数年前に前医でむし歯を指摘されその時の先生の説明では

神経を取らないといけないと説明を受けたが、「神経は取りたくない」と

 

応えたとのこと、そうしたらそのまま樹脂で詰めて処置が終わった、

という経緯のようです。

状況から察するに、明らかにむし歯を取らずに詰めたのでしょう。

神経の治療(根管治療)はそれで無くても手間と神経を磨り減らす処置です。(しゃれではありませんヨ)

それに対して、非常に診療報酬として低評価なのも事実です。

前歯の神経を取る処置は1日目が228点(2,280円

)、

2日目以降は28点(280円)ですから、診療に関わる最低限の機材・材料のコストから考えても、圧倒的に不採算です。

だからといって、時間のかかる説明を飛ばすことは患者利益には

繫がらないと思うのです。

確かに、むし歯を取らずに痛みが出てからの方が

神経を取ることに同意が得られやすいのかもしれません。

また、最終的な判断は患者の権利ですが

誰だって「神経は取りたくない」ものだと思うのです。

決して、その先生だけを攻めるつもりは有りません

その気持ちを汲んで

説明できる環境が得られない

現在の日本の医療環境にも

私たちは大きな不満を持っています。

患者さんの少しずつ積もった不満

医療提供側の少しずつ積もった不満

この不幸な行き違いをなんとかしたいものです。